今春にプレオープンしたが、利用客は「京都からわずかしか離れていないのに町家の風情を堪能できた」「商店街を散歩してみると、ユニークなお店が多く、新たな発見と出合えた」と評価。想定通り、ホテルとその周辺の商店街を行き来していることが分かった。
こうした回遊を大津市は期待する。館内に必要なコンテンツをそろえて宿泊客を囲い込む一般のホテルと違い、商店街を丸ごとホテルに見立てているからだ。利用客は、7棟のうちフロント機能をもつ「近江屋」でチェックインし、屋根のあるアーケード街をホテルの廊下のように歩きながら宿泊先に向かう。
このとき見つけた気になるお店で食べたり飲んだりし、銭湯で汗を流すこともできる。商店街から少し足を延ばせば琵琶湖や三井寺、比叡山延暦寺、石山寺の景観を楽しめる。
宿場町の復活目指す
宿泊客がホテルの外に出ることで商店街が活気づき、魅力が高まれば観光客を呼び込める-。こう判断した大津市は商店街丸ごとホテルの実現に向け、谷口工務店に経済産業省の国庫補助事業への申請を勧めた。総投資額約3億円のうち約9000万円を補助金で賄えたことで「日本一の町家ホテルを建てることができた」(谷口氏)。