【地域資源を生かす】商店街、丸ごとホテルで活性化 地元工務店が町家改装、訪日客誘致へ (3/3ページ)

町家を改装したホテル「椛屋」。北欧の高級家具をしつらえており、快適空間を楽しめる=滋賀県大津市
町家を改装したホテル「椛屋」。北欧の高級家具をしつらえており、快適空間を楽しめる=滋賀県大津市【拡大】

  • 一棟丸ごと貸し切るタイプの一つ「鍵屋」。家族やグループでの宿泊におすすめという=滋賀県大津市
  • 町家を改装したホテル「鈴屋」に宿泊する観光客=滋賀県大津市

 同市は昔のにぎわいを復活させるため、「大津ならでは」の魅力を持つ地域資源の活用に積極的で、その一つが宿場町大津の復活を目指す「宿場町構想」。大津の歴史・文化である町家を生かした宿泊施設や飲食店などを増やし、観光客に滞在期間を延ばしてもらう。

 京都の町家は幕末の戦乱期の大火でほとんどが焼失したが、大津は大きな災害や戦乱に見舞われなかったため町家の保存状態がいい。それだけ観光資源としての価値も高く、体験型観光には打ってつけだ。

 越直美市長は「商店街にある町家に泊まることで観光客と街の人たちが触れ合う機会が増える。日本人の普段の暮らしぶりを知ることができ、古き良き日本を体験できる」と指摘。「日常が観光資源になり得る」と外国人誘致にも意欲を見せる。

 ■ものづくりの技能磨く場に活用も

 昨春オープンした改装町家第1号の宿泊施設「大津町家の宿 粋世(いなせ)」は外国人に好評で、宿泊したフランス人は着物を着たり、お茶をたてたりと日本の文化・伝統に触れることができて喜んだという。市民も町家の改装に興味津々で、つぶれそうな古町家が見違えるほどおしゃれに変身したことに驚く。空き家となった古町家は壊すしかなかったが、和食料理屋や居酒屋などによみがえり、にぎわいの創出に貢献している。

 市民の盛り上がりを受け、市も5月に官民連携の「宿場町構想実行委員会」を立ち上げたほか、町家などの活用に取り組む人材育成を目的に「リノベーションスクール」も開催する。

 谷口工務店も第2弾として、今秋に「クラフトマン(職人)カレッジ」プロジェクトを始める。職人を育てる文化が薄れつつある中、DIYからプロ志望までさまざまな職人が集まり、ものづくりの技能を磨く場として空き家を活用。シャッター街を「ものづくり商店街」として再生し活気を取り戻す。カレッジの関連施設として金物屋や材木屋などを誘致する予定だ。

 谷口氏は「大津市を高度な技能をもつ職人が世界中から集まる聖地にしたい」と意気込む。イタリア・ミラノで毎年開催される世界最大規模の家具見本市「ミラノサローネ」の大津版「オオツサローネ」開催を夢見る。かつての宿場町のように多くの人が訪れ、行き来する宿場町構想を進める大津市の新たな地域資源になりそうだ。(松岡健夫)