【高論卓説】なぜ日本は長寿企業が諸外国に比べ各段に多いのか (1/3ページ)

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 日本は経済活動を活性化させるべく、新規起業を促進する政策を現在推進している。起業率が上昇し、若くて革新的な企業が増えることを期待したい。一方、日本は長寿企業の数が国別では世界一多いといわれている。世界で最も古い企業は西暦578年に創立された日本の金剛組という寺社建設の会社で、実に1440年存続している企業である。日本最古の歴史書とされている古事記が編纂(へんさん)された年(712年)よりも130年以上前に創業した超長寿企業である。(JPリサーチ&コンサルティング顧問・杉山仁)

 日本には100年以上続いている長寿企業が1万5000社以上あり、国別で2位はドイツの1000社以下という統計がある。別の統計では、創業200年以上の企業は世界で5586社あり、このうち56%が日本に集中している。

 では、なぜ日本には長寿企業が諸外国に比べ各段に多いのか。これにはいくつかの理由が考えられる。

 一つは平和が長く続いたことであろう。日本では全国民を戦火に巻き込む大規模な戦争は極めて少なく、戦争の惨禍が全国に及んだのは第二次世界大戦の末期、米軍による本土空襲が本格化してから1年弱の間にすぎない。この間を除き、日本の長い歴史で、全土に戦火が広まり、全国民が逃げ惑ったということはない。戦国時代の合戦は武装集団同士の局地的な戦闘で、民衆全体に被害を及ぼすものではなかった。また、海に囲まれていたため、異民族による全面的な侵攻と殺戮(さつりく)はなかった。

人口が3分の1に減少したケースも