【高論卓説】なぜ日本は長寿企業が諸外国に比べ各段に多いのか (2/3ページ)

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 これに対し、例えば13世紀の蒙古帝国の侵攻では、中央アジアの各地域は徹底した殺戮と破壊の結果、経済発展が数百年の間滞ったといわれている。異教徒や異民族と地続きのユーラシア大陸では、戦闘は民衆全てを巻き込んだジェノサイド(皆殺し戦争)となるのである。

 17世紀ヨーロッパの宗教戦争である三十年戦争では、住民も殺戮の対象となった結果、現在のドイツに当たる地域では、人口が3分の1に減少したという。

 こういう大規模な戦乱が続くと、社会は断絶し、企業活動も当然のことながら継続できなくなる。平和が何千年も続いたことが、日本に長寿企業が多いことの要因である。

 2つ目は、企業活動が投機を自制していることである。歴史の長い日本企業には、例えば大手財閥の家訓のように本業に徹し、暴利や投機を戒める行動原則が浸透している。この結果、景気循環の波に大きく左右されず生き残ってきたのである。平成バブルの時代に投機に走った新興企業は、バブル崩壊とともに、消え去ったことは記憶に新しい。

 3つ目は、これは筆者の仮説だが、日本人には永続性そのものを尊ぶという考えがあるのではないかと考えている。国歌である「君が代」には「千代に八千代にさざれ石の巌となりて…」という歌詞があるが、これは国家社会の永続性を尊び、それを願うという思想に基づくものであると考えられる。

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