車載電池事業は、こうした過去の苦い経験とたびたび重ね合わせられる。だが、伊藤副社長は、車載電池の競争がニッケルなど、どんな材料がどんな割合で配合されているかといった技術力に大きく左右されるとの考えを強調。パナの生産現場では、材料に加え、温度、湿度といった多様な条件のもとで実験を繰り返すことで高性能の電池を開発する地道な作業が行われているようだ。
補助金などで後押し
一方、中国勢の急成長を後押しするのが、世界のEV市場をリードしたい中国政府による政策。補助金支給のほか、一流の技術者を高待遇で迎える政府の「千人計画」に加え、2019年に導入する「NEV規制」では、新エネルギー車の一定割合の生産などが義務づけられ、車載電池の需要増にもつながるとみられるからだ。
中国メーカーでは、寧徳時代新能源科技(CATL)や比亜迪(BYD)が急成長し、世界で高いシェアを誇る。CATLは創業から7年と新興企業でありながら、パナソニックとトップシェア争いを繰り広げており、強力な国のバックアップのもとに、パナソニックには脅威となりつつある。
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「顧客と課題を共有しあい開発する。いたずらにシェアを増やすのでなく、わたしたちの技術を評価していただける顧客と一緒にやる」。伊藤副社長は、電池事業についてこう語り、パナソニックの強みを生かせる分野であることを訴える。