
「第32回独創性を拓く先端技術大賞」授賞式で記念講演する桐蔭横浜大学医用工学部の宮坂力特任教授(右端)=7月11日、東京・元赤坂の明治記念館(酒巻俊介撮影)【拡大】
研究開発はあきらめずに、しつこくこだわる
ペロブスカイト太陽電池は日本から発した技術ですので、ぜひ、日本の自慢する技術として皆さんにも関心をもっていただきたいと思います。日本の競争力が問題となってきますが、ぺロブスカイトの研究が始まってから世界であっと言う間に研究が広がっています。中国では政府が何十億円というお金をかけて推進しており、短期勝負の1年間で研究室に集中的に投資が行われています。政府の力も強いのですが、研究者も這い上がる精神が旺盛で珍しい技術をどんどん使っていきます。
それに対し日本はどちらかと言うとコンサバティブで安全志向ですので、奇妙なものにはなかなか手を出さない。今まで10年や15年も使ってきた材料から、ぺロブスカイト材料に変えることはなかなかできない。しかしそれでは戦っていけません。今日もたくさんのイノベーティブな研究成果が受賞されたわけですが、ぜひ若い人には珍しい技術やチャレンジした研究開発はあきらめずに、しつこくこだわってやっていただきたいと思います。そのためにも、恥ずかしがらずに協力を仰ぐことですね。協力を得るためには寛容であることが必要です。また、自分の専門分野にこだわらずに、少し自信がなくても学際的な領域に手を伸ばしていくことが、これからの日本の研究や若い人の力になっていくと思います。
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【プロフィル】宮坂力
1953年生まれ。工学博士。81年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。同年富士写真フイルム(現富士フイルム)入社。同社足柄研究所主任研究員を経て、2001年桐蔭横浜大学大学院工学研究科教授。05年東大大学院総合文化研究科客員教授、17年東大先端科学技術研究センターフェロー。GSC文部科学大臣賞などを受賞。
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(2018年8月14日現在)
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