「AI民主化」、挑むベンチャー企業 一部が使える“特権”、誰もが使えるものへ (3/3ページ)

エッジインテリジェンスが開発したWebDNNを使ってタブレット上で2枚の写真を即座に1枚に画風変換した
エッジインテリジェンスが開発したWebDNNを使ってタブレット上で2枚の写真を即座に1枚に画風変換した【拡大】

  • WebDNNの実用化に向け技術開発に励むエッジインテリジェンスの共同創業者取締役の日高雅俊氏(左)と木倉悠一郎氏

 さらなる高速化やデータダウンロード時間の短縮、利用可能なDNNの種類拡大にも取り組んでおり、同社の森山雅勝社長は「強みである今の技術をどう生かすか。差別化できるので、誰もが使えるようにしていきたい」とAIの民主化に意欲を燃やす。

 「1週間後の台風の進路を予想する天気予報のように1週間後の株価動向を予想する。“見える化”すると商売になる」

 精度の高さで個人投資家から支持を得るサイト「兜予報」を運営する財産ネットの荻野調社長はこう強調する。

 精度の高い株価予測

 「プロの資産運用術をあなたに」「経済アナリストを番頭に」をモットーに、富裕層に向けられていた金融情報サービスを、誰でも受けられるものに変えていく。そのために駆使するのがAIだ。

 兜予報では、過去事例を分析したAIが企業ニュースのうち潜在的に株価を動かすネタを選別して配信する。「ノイズ(関係のない情報)除去とインパクト(重要情報)の選別、つまりどれを読めばいいかを判定してくれるので投資初心者にも使い勝手がいい」(荻野氏)。それだけ株価動向の予測精度は高くなり、株取引を1日に何回も繰り返すデイトレーダーに人気のツール(道具)になっている。

 荻野氏は「聞きたいことに答えてくれるのがAI。『ドラえもん』は自ら判断して『のび太』を助けに行かないが、のび太が課題をもって尋ねれば情報を集め最適解(助けに必要な道具)を出すことはできる。だから誰もが欲しくなる」と説明。富裕層の特権だった資産運用をAIとフィンテックの融合で一般投資家でも手の届くところまで持っていく。

 AIの民主化について、野村総合研究所(NRI)のグループ会社、NRIデジタル(同千代田区)の寺田知太ゼネラルマネジャーは「AIのアルゴリズム(計算方法)が公開され、誰でも使えるようになった。いわゆるコモディティー化(汎用(はんよう)化)が進む」と指摘する。

 今は黎明(れいめい)期というが、明確な課題に素早く対応できるAIを使いこなしたベンチャーが事業機会を創出したり、個人の生活を豊かにしたりするビジネスモデルを構築。かゆいところに手が届くさまざまなサービスが提供されることで、AIの民主化を享受できる時代が到来しそうだ。(松岡健夫)