【論風】再エネのコスト削減 “事後的修正”の荒療治を (3/3ページ)

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 FITによる再エネ買い取り総額・賦課金総額は18年度で3.1兆円・2.4兆円に達する見込み。その大宗は過去の高価格認定案件(12~14年度認定の太陽光40~32円キロワット時など)。17年4月に施行された改正FIT法により、約16ギガワット(約27万件)が接続契約を締結できず失効したが、なお未稼働の高価格認定案件は多数存在する。

 FITの根拠法である再エネ特措法の第3条第10項には「経済産業大臣は、物価その他の経済事情に著しい変動が生じ、又は生ずるおそれがある場合において、特に必要があると認めるときは、調達価格等を改定することができる」とある。つまり、一定の制約はあるものの、再エネ買取価格や期間を「事後的に」修正できるのだ。もっともこれは、政治の強い決意と決断がなければ実現しない。

 この条項を活用して、再エネ買取に係る国民負担を大幅削減するため、12~14年度認定のメガソーラーなど高値買取物件の買取価格・買取期間を変更すべきだ。

 このくらいの荒療治をしなければ再エネ関連コストに係る国民負担を抑制・削減することはできない。

【プロフィル】石川和男

 いしかわ・かずお 東大工卒、1989年通商産業省(現経済産業省)入省。各般の経済政策、エネルギー政策、産業政策、消費者政策に携わり、2007年退官。11年9月から現職。他に日本介護ベンチャー協会顧問など。50歳。福岡県出身。