【ITエリート争奪戦(上)】人材流動化、報酬は青天井 ビジネスモデル変革期、「バブル」指摘も (1/2ページ)

技術系企業幹部の各国給与水準
技術系企業幹部の各国給与水準【拡大】

 人工知能(AI)など先端技術に通じたエリートの争奪戦が激しさを増している。IT業界では人材の流動化が進み、起業、転職、引き抜きは日常風景だ。有能な人材を求めて破格の報酬が飛び交い、ヘッドハンターからは「バブル」を危惧する声も上がり始めた。

 「次世代技術に知見のある幹部人材は奪い合いの状況だ」。役員紹介サービスを手掛ける縄文アソシエイツ(東京)の古田直裕コンサルタントには、最高技術責任者(CTO)や最高情報責任者(CIO)といった幹部職の紹介を求める相談がひっきりなしに寄せられる。

 これまで国内のヘッドハンティングは外資系企業が経営幹部を手っ取り早く獲得する手段として主に使われたが、最近は日本の老舗企業にも利用が広がりつつある。

 資生堂は7月1日付で、LIXIL(リクシル)前CIOの小和瀬浩之氏を招聘(しょうへい)。日立製作所が米ゼネラル・エレクトリック(GE)でデジタル部門の最高執行責任者(COO)を務めたブラッド・スラク氏を引き抜いた昨年秋の人事も国内外で関心を集めた。

 外部人材の活用が広がる背景には、AIなどの技術革新に伴い、各産業でビジネスモデルが変革期を迎えている事情がある。大企業といえども既存事業に安住していては将来が見えず、新規事業を開拓する必要に迫られているが、多くの企業は「担い手が社内に見当たらないのが実情」(プロフェッショナルバンクの呑田好和取締役)だ。

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