久美子社長は脱同族経営を掲げる一方で、これまで進めてきた高級路線から大幅に方向転換。会員制を廃止し、丁寧な接客重視のスタイルから入りやすい店舗づくりに力を入れ、これをトップダウンで強引に推し進めた。
これに反発したのが父であり創業者、大塚勝久氏の下で仕事をしてきた古参の幹部たちだ。結果的には創業者を担ぎ出し、父娘対立へと発展した。この戦いに勝った久美子社長は上から強引に働き方を変えようとしてそれが現場の混乱を招き、15年末から17年末までの間に250人以上の社員が退社。戦力低下が業績悪化に拍車をかけてしまった。
実は久美子社長と同じような失敗をした経営者がいる。星野リゾートの星野佳路社長だ。
長野・軽井沢の老舗旅館「星野温泉旅館(星野リゾートの前身)」の長男として生まれた星野氏は、米コーネル大学大学院でホテル経営を学んだ後に31歳で父親の跡を継いで社長に就任。一流ホテルを目指して米国流のホテル経営を持ち込もうとするが、ベテラン社員の反発を招き、100人の社員のうちの3分の1が辞めてしまい、経営再建は難航した。
さらに一族による「公私混同」を解消するための経営改革では父親と対立し会社を飛び出したこともあった。ここまではまさに久美子社長と同じような道をたどっている。しかしここからが大きく違う。