【高論卓説】大塚家具と星野リゾート、二代目の器 現場の声に耳を傾ける姿勢で明暗 (3/3ページ)

大塚家具の大塚久美子社長
大塚家具の大塚久美子社長【拡大】

  • 星野リゾートの星野佳路社長

 苦境に立たされた星野社長は現場の声に耳を傾け、「社員の働きやすい経営」に大きくかじを切る。社員がやりたがらないような酔っ払い相手の宴会を止め、社員が夢を持てるブライダル事業などに注力、トップダウンの仕事の仕方から現場に大きな権限を与え、好きなようにやらせた。

 これが功を奏し社員は水を得た魚のように働き、経営再建の大きな原動力となった。「任せれば、人は楽しみ、動き出す」と星野社長は語っているが、久美子社長は社員を信じ、社員に仕事を任せることができていたのか。今から思えば、それが残念でならない。

【プロフィル】松崎隆司

 まつざき・たかし 経済ジャーナリスト。中大法卒。経済専門誌の記者、編集長などを経てフリーに。日本ペンクラブ会員。著書は多数。昨夏に『東芝崩壊19万人の巨艦企業を沈めた真犯人』を出版。55歳。埼玉県出身。