【マネジメント新時代】AIで渋滞解消 日本での実現に壁 (2/3ページ)

お盆休みのUターンラッシュで渋滞する東名高速道路の上り線=8月14日、神奈川県綾瀬市
お盆休みのUターンラッシュで渋滞する東名高速道路の上り線=8月14日、神奈川県綾瀬市【拡大】

 この対策としては、上り坂の車線を増設したり、自動車メーカーにて、モノのインターネット(IoT)を活用した追従ドライブ支援機能(レーダークルーズコントロール)などの採用も進んでいる。

 しかし、中国杭州市の場合はかなり様相が異なる。上海の南西に位置し、古都と呼ばれる杭州市は、筆者も幾度か訪問したことがあるが、観光地であり渋滞はかなりひどいものであった。それに対し、杭州市とアリババのクラウド事業を担うアリクラウドが連携して、AIによる管理システム「ET都市ブレイン」を導入し、AIが全ての信号と約3600台の交通監視カメラを管理しているとのこと。つまりAIが交通量と信号の点滅時間を制御して、交通渋滞をほぼ解消したようだ。

 また、交通事故が発生した場合は、救急車が迅速に走れるよう、AIにより救急車が行く先々で信号が自動的にグリーンになるよう変更を行い、到達時間を半減したとのこと。このようなことを考えるとき、その採用のためには前提条件が必要となるであろう。つまり、信号や交通監視カメラの情報を民間企業に委ねるか否か、また常時どこに行ってもカメラなどで監視されていることへの可否である。

 AIによる都市交通の最適化は筆者からみると、光と影があり、その採用にあたっては、コンセンサスを得なければならない多くの課題も含まれているように思える。

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