【マネジメント新時代】AIで渋滞解消 日本での実現に壁 (3/3ページ)

お盆休みのUターンラッシュで渋滞する東名高速道路の上り線=8月14日、神奈川県綾瀬市
お盆休みのUターンラッシュで渋滞する東名高速道路の上り線=8月14日、神奈川県綾瀬市【拡大】

 個人情報保護が優先

 日本でも慢性的に高速道路、一般道路でも渋滞が発生している。では、このようなAIを活用した都市交通の最適化が実現できるかとなると、それほど簡単ではないように思える。まず、AIをパブリックに活用することに対し、どのような情報を差し出して、どのような利点が得られるのか、または失うのかの議論が十分ではないと思われる。過去にも、JR東日本が発行するICカードスイカで、移動情報をビッグデータとして活用しようとしたが、個人情報保護の観点で問題があるのではとの議論となり、その話は頓挫した。

 もう一方では情報の出し方の問題もある。渋滞学が専門の東京大学先端科学技術研究センターの西成活裕教授と以前に懇談した際も、中国と日本という国の違いもさることながら、日本での課題は、行政、民間も含めて縦割り意識が強く、情報を他に渡さない風潮がある点ではないかとの話となった。例えば、高速道路では多くの走行記録が残っているにもかかわらず、結局それらを活用することがないなどである。

 このように考えてくると、クルマの自動運転化により、交通事故が減ると予想されているが、それだけで渋滞など都市交通の最適化が実現できるとも思えない。AIの進展によりこれまでできなかったことも実現できるなど、海外にて先行し始めている都市もあるが、遅ればせながら日本でも、パブリックとプライベート、何を優先させるのかなど、そろそろ議論していく時期に来ているように思える。

【プロフィル】和田憲一郎

 わだ・けんいちろう 新潟大工卒。1989年三菱自動車入社。主に内装設計を担当し、2005年に新世代電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)」プロジェクトマネージャーなどを歴任。13年3月退社。その後、15年6月に日本電動化研究所を設立し、現職。著書に『成功する新商品開発プロジェクトのすすめ方』(同文舘出版)がある。62歳。福井県出身。