【高論卓説】顧客から集めた資金、家賃保証に 安易な不動産戦略の大きな問題点 (2/3ページ)

静岡県沼津市のスルガ銀行本店
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 通常、銀行のローン審査は周辺の不動産相場や家賃相場を参考にして、それが適正な融資であるか判断する。そうしなければ、担保資産の担保評価割れが起きてしまうからである。長期の家賃保証とサブリースがセットであれば、これを簡易化できる。これが不正の温床になってしまったと思われる。

 不動産会社は、不動産をできるだけ高く顧客に売りたい。このため、家賃設定をできるだけ高くし、それが継続可能なビジネスモデルであるかのように見せかけたのだ。

 その意味では、同様の物件が少なく周辺家賃と比較が難しい女性専用シェアハウスというのは良い材料になったのだと思われる。周辺に比べ著しく高い家賃の物件に入居者が集まるわけもなく、顧客から集めた資金を家賃保証に充てることになり、結果的に破綻したのであった。

 この問題の根底には日本の不動産担保ローン全体の仕組みの問題も絡んでくる。海外では事業用ローンはノンリコースが中心で、ローン残高が不動産評価を上回った場合、担保不動産を銀行に差し出せば残債は残らない仕組みになっている。このため、リスクは銀行持ちであり、これがリーマン・ショックの原因にもなったが、同時に適正な担保評価を行う要因でもある。

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