「日本版LLC」設立ラッシュ 節税対策で個人投資家も…本末転倒との声も (3/4ページ)

◆FX、仮想通貨など個人投資家も節財対策に活用

 2017年の新設法人数は13万社を超え、調査を開始した2007年以降で最多記録を更新した。法人格別にみると、「合同会社」だけが年々増加し、他の法人格は伸び悩んでいる。

 2017年の「合同会社」の急増は、不動産やFX、仮想通貨の個人投資家が節税対策の一つとして活用したことが背景にあるとみられる。

 だが、シェアハウスのサブリース問題で銀行の不動産融資は厳しくなっている。また、仮想通貨も不正アクセスによる流出事件を契機に、交換業者やみなし業者への業務改善命令が相次ぎ、相場も乱高下を繰り返している。

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 このため、今後は個人の不動産・仮想通貨への投資意欲が減退し、「合同会社」の新設数への影響も想定される。

 「合同会社」は他の法人格にはない、設立の手続きが簡便で、安価に設立でき、経営の意思決定が迅速というメリットがある。こうしたメリットが浸透すれば節税効果に依存せず、資金力が乏しくても創業支援の後押しを受け新規立ち上げに活用される可能性が残っている。

◆地域活性化への貢献などが課題に

 日本の「合同会社」のモデルとなった米国の「LLC(Limited Liability Company、有限責任会社)」のように、パススルー課税(法人税がなく、出資者の所得税のみが課税される制度)の適用も、開業率アップへの検討課題かもしれない。

政府は成長戦略に掲げるが…