インバウンド需要に資するかも 世界初、自動運転タクシー体験記「思いのほかスムーズ」 (3/3ページ)

自動運転で公道を営業走行するタクシーの実証実験=8月27日、東京都千代田区
自動運転で公道を営業走行するタクシーの実証実験=8月27日、東京都千代田区【拡大】

  • 自動運転タクシーの実証実験で、乗車するためにスマートホンを車両のQRコードにかざす利用客=27日、東京・大手町(荻窪佳撮影)
  • 自動運転タクシーの実証実験で、営業走行前に準備するドライバーと補助者(手前)=8月27日、東京・大手町
  • 報道陣を乗せ出発する自動運転タクシー=8月25日、東京都千代田区(大泉晋之助撮影)

 緊急対応のため乗車しているプロの運転手によれば、「ブレーキを含め、動きはかなり改善された。最初の頃は、私も乗るのがおっかなびっくりだった」とのことだ。短期間の性能改善に目を見張ったという。

 ただ、記者の安心感は緊急対応の運転手が目の前にいることが大きい。完全無人で利用者の安心感を得られるかは今後の課題だ。

 実験の蓄積でさらに性能を向上させていく方針だが、両社だけでは商用化につなげることは不可能だ。実際に事業を始めるためには道路交通法などの関係法の改正が必要になるほか、事故やトラブルの際の責任の所在も今後整理していかなければならない。また損害保険業界の関係者からは「新たな保険商品も必要になるだろう」との声も出ている。

 こうしたハードルはあるものの、日の丸交通の富田和孝社長によれば「タクシー業界の人手不足は深刻」としており、自動運転は業界にとってチャンスが増えるとみられる。また、増加する訪日外国人のタクシー需要が今後伸びるとみられる中、人間の運転手にとって各国の利用者への言語対応は課題だ。しかし、自動運転なら、自動運転タクシー利用に必要な専用アプリを多言語対応してしまえば、それで済むことになる。

 数年前、新宿のロボットレストランが訪日観光客の間で人気となり話題を集めたが、今後の開発次第で、自動運転タクシーも同様の観光資源になり得る可能性を感じさせた。

 また従前から指摘があるように、高齢者や過疎地での移動対応などにも自動運転タクシーの実現は役立ちそうだ。

 実験は8月27日~9月8日までだが、両社は今後も商用化に向けた実験をさまざまな場面で進める予定という。