【高論卓説】米難関大が示唆する高等教育の在り方 企業が望む実践教育を徹底実行 (1/2ページ)

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 今、米国の小さな新興大学にハーバードやスタンフォードなど一流大学を蹴って入学してくる学生が後を絶たないという。しかも、その大学にはキャンパスがない。つまり、教室がない。従来の大学とは全く違った教育コンセプトを提供するこの大学になぜ世界中から優秀な学生が集まってくるのか。しかも合格率はわずか1.9%だ。

 ミネルバ大学は2014年にサンフランシスコ(カリフォルニア州)で開校した。しかし、サンフランシスコにあるのは小さな本部と学生寮だけ。セミナーと呼ばれる授業は全てオンラインで午前中のみ、午後は各自インターン先の現場で研修を受け、個別の研究テーマにいそしむ。教授も全米各地からオンラインで合流し授業を受け持つ。

 セミナーの参加者は教師を含め20人と決められている。授業ではWHAT、つまり既成の知識を学ぶというよりも、むしろテーマに沿ったHOWが徹底的に議論される。各自のモニターには教師とクラスメート全員が写っている。授業中の発言数や内容が重要だ。モニターの表示を見れば誰がどの程度発言しているかが分かる。つまり、バーチャルではあるが円形テーブルに座ってお互いを見ながら議論するのと同じ環境である。したがって、居眠りなどできない。

 ミネルバ大の教育目標は、リーダーシップと革新的な考え方を持ちながら、多角的な思考も持つグローバルシチズン、つまり世界のどこでも通用する人材の育成と彼らに実践的な能力と知恵をつけることに尽きる。実践的能力と知恵とは、将来学生が社会で遭遇する未知の分野でも応用できる思考法やコミュニケーション技術のことだ。

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