【高論卓説】米難関大が示唆する高等教育の在り方 企業が望む実践教育を徹底実行 (2/2ページ)

※画像はイメージです(Getty Images)
※画像はイメージです(Getty Images)【拡大】

 全ての学生にとって米国内のアクティブラーニング(実践授業)のほか、グローバルな経験も必須である。全学生は卒業までに世界の7カ国で実際に現地に赴き4カ月間の研究活動やインターンを経験することが求められている。徹底した実社会への応用と異文化環境での実証研究だ。

 彼らは28カ月間、実に在学期間の半分以上を海外で過ごす。もちろん、海外研修中も午前中のオンラインセミナーは行われる。現場で経験したことを各自授業に持ち帰りプレゼンテーション、ディスカッションを繰り返す。学生たちはブエノスアイレス(アルゼンチン)、先生はボストン(米マサチューセッツ州)からログインなどは日常である。

 キャンパスがないから学生ホールや食堂、立派な図書館もない。施設への投資は大学経営を圧迫するばかりではなく、学生の学びには直結しないとミネルバ大は割り切っている。したがって学費も全米有名校と比較して3分の1だ。徹底的にカリキュラムにITを利用し、大学の全ての資源を学生に投資する。ここがハードウエアにばかり投資する他の大学との最大の違いだ。

 ミネルバ大の実践教育で鍛えられた卒業生は今後世界にどんな影響を与えるのだろうか。アマゾン・コム、テスラ、グーグル、アップルなど米国企業は貪欲に彼らを採用するだろう。が、就職予備校と化した日本の大学で大量生産された同一規格の学生ばかり採用してきた日本企業には、果たして彼らを受け入れるだけの度量があるのだろうか。

【プロフィル】平松庚三

 ひらまつ・こうぞう 実業家。アメリカン大学卒。ソニーを経て、アメリカン・エキスプレス副社長、AOLジャパン社長、弥生社長、ライブドア社長などを歴任。2008年から小僧com社長(現職)。他にも各種企業の社外取締役など。72歳。北海道出身。