三井不動産は10分単位で利用でき、スマホの専用アプリで簡単に社員の勤怠管理ができる施設を「ワークスタイリング」というブランドで展開。全国31カ所で運営している。今年初めの契約法人は30社超に過ぎなかったが、働き方改革に対する注目度の高まりにより、わずか半年で約200社まで拡大した。
東京急行電鉄は「ニューワーク」というブランドで事業を展開。提携店も含め全国のネットワークが100店舗を突破した。会員登録数は5万人を超え、その多くが週に1回程度、通勤ラッシュの回避を目的として朝夕に自宅近くの店舗を利用。移動時間の短縮や業務効率化につながっているという。
積水ハウスグループの積和不動産は昨年、「BIZ SMART(ビズ スマート)」というブランドで事業を立ち上げ、現在は代々木や神田など都内でシェアオフィスを開設している。また、積水ハウスは自社のモデルハウスをサテライトオフィスとして活用することを視野に入れる。テレワーク・デイズの期間中は千葉県市原市在住で都内に通う社員が、同市内の展示場でテレワークを実施した。
ただ総務省によると、従業員100人以上の企業を対象にした29年の調査で、テレワークを導入しているケースは13.9%にとどまっている。「テレビ電話などの初期投資がネック」といった指摘がある一方、ある大手企業トップは「日本企業は対面でのやりとりを重視する傾向が強い。こうした企業文化を変える必要がある」と話す。本格普及に向けての道のりは決して平坦(へいたん)ではないようだ。(伊藤俊祐)
■テレワーク タブレット端末やパソコンを活用し、職場に行かず自宅や共有オフィスで仕事をする働き方。通勤時間を削減できるほか、介護や育児の両立にも有効とされる。企業にとっては人手不足の中、働き方の選択肢を増やすことで社員の離職防止にもつながり、大企業を中心に導入の動きが広がりつつある。情報漏洩(ろうえい)の防止や労務管理の徹底が課題となる。