レンズ交換式カメラのシェア争いは本体の商品力だけでなく、交換レンズの性能や品ぞろえもカギとなる。フルサイズで最後発となるパナソニックは、独ライカカメラのレンズ規格を採用すると発表した。国内レンズメーカーのシグマと3社協業で互換製品を展開することで、自社製レンズの品ぞろえの少なさを補う戦略を選んだ。
富士フイルムは交換レンズの増産へ向け、生産能力を2年かけて7割引き上げる計画。生産子会社の富士フイルムオプティクスの大和工場(宮城県大和町)に十数億円投じてクリーンルームなどを増設し、順次稼働させていく。
カメラ映像機器工業会の統計によると、平成30年1~6月期の国内出荷台数は、一眼レフが約24万台、ミラーレスを含むノンレフレックスが約29万台となった。また平均単価も5万4300円(29年)と、24年比で約1.7倍に上昇し、ユーザーの高級機・本格志向が際立っている。
ミラーレスは液晶ファインダーの画像と被写体の状態に時間差があるなどの弱点も技術進歩で解消されつつあり、プロや写真愛好家の評価が高まっている。カメラ市場の主流は、一眼レフからミラーレスへと移っている。キヤノン、ニコンやパナソニックと“役者”がそろうことで、高級機への流れがさらに加速するのは間違いない。今後のシェア争いの行方が注目される。(山沢義徳)
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■ミラーレスカメラ 平成20年にパナソニックが初めて発売した。反射鏡を備えず、被写体を電子ファインダーに写し出す仕組みのため、一眼レフカメラと比べ小型で軽いのが特長。一方で「電池持ち」や、被写体の動きと電子ファインダーの画像とのタイムラグが短所だった。
しかし10年間で性能が向上し、スマートフォンで写真の面白さに目覚めたビギナーやシニアをはじめ、プロカメラマンにも支持を広げつつある。レンズ交換式カメラの国内販売数に占めるミラーレスの割合は、54%(BCN調べ、今年3月時点)と一眼レフを上回っている。