GDP22兆円喪失も 中小企業庁などが初のイベント開催、事業承継の重要性・危機感強調 (2/2ページ)

全国事業承継推進会議で、体験談を語る家業を継いだ経営者ら=10月29日、東京都港区
全国事業承継推進会議で、体験談を語る家業を継いだ経営者ら=10月29日、東京都港区【拡大】

 また「『今、継ぐ』大切さ~私はこうやって継ぎました~」と題し、笛木醤油(埼玉県川島町)の笛木正司社長や製麺業の出雲たかはし(島根県雲南市)の高橋大輔社長らが経験談を語った。先代が急死したり、存命でもなかなか意思疎通を図れないこともあったりし、「先代とビジョンを共有するなどコミュニケーションは重要だ」と振り返った。

 経営者には助け必要

 トークセッションでは、家業を継いだ若手後継者が新たな事業を起こす「アトツギ」ベンチャーを支援する、一般社団法人ベンチャー型事業承継の山野千枝代表理事らが登壇した。

 ミツフジ(京都府精華町)の三寺歩社長は、お金がないと言われ大手企業を辞めて家業を手伝うと決意したが、先代と意見が合わず会社を乗っ取りますと宣言した経緯を、ユーモアあふれるエピソードを交えながら話した。世界最強の糸という家業の経営資源を生かし、健康管理ができるウエアラブルIoT(モノのインターネット)製品で売り上げを伸ばす。

 大都(大阪市生野区)の山田岳人社長は「娘と結婚するなら会社も継いでほしい」と言われ金物・工具問屋の家業を継いだが、“問屋業は勝てないルール”で構造不況に。従業員を全員解雇する苦難を味わうが、DIYネット販売へと業態転換した。ネットと長年築き上げた仕入れ先の太いパイプを掛け合わせたことが成功の秘訣(ひけつ)という。

 山野氏は、関西の大学で実家が自営業の学生だけを集めたゼミも実施する。ミツフジの三寺社長は「経営者は独りぼっち、心細いときに助けが必要」と山野氏と意気投合し、参加した。山野氏は「地方のアトツギの意識が変われば日本経済に地殻変動が起こるはず」と締めくくった。