和歌山・白浜にIT企業続々 いったい何が起きているのか (3/3ページ)

サーフショップをイメージした「サブライム」の白浜事務所=和歌山県白浜町
サーフショップをイメージした「サブライム」の白浜事務所=和歌山県白浜町【拡大】

  • 企業の保養所を改修した白浜町ITビジネスオフィスからは太平洋が一望できる

 こうした結果に自信を深めた県は、さらに企業の受け皿として今年6月、白浜町第2ITビジネスオフィスを開設。入居希望が相次ぎ、10月にはモノとインターネットがつながる「IoT」関連事業を手がける「ウフル」(東京)の入居が決まり、4室すべてが埋まった。

 広まるワーケーション

 ワーケーションは近年、ITの進化に伴い米国などで広まったビジネスのスタイル(考え方)。「働き方改革」の推進もあって日本でも注目を集め、沖縄県などでも始まっている。白浜町は観光やリゾートの環境が整い、空港の立地で東京からのアクセスも便利な点が人気を集める。

 ウフルの園田崇社長は「IT企業が集積し、国内外の顧客を招いても喜ばれるすばらしい自然と環境がある。この白浜で社会問題を解決するような事業を生み出したい」と話す。

 また、第2オフィスに入居が決まっている不動産大手の三菱地所は、全国で運営管理するビルの入居企業を対象に、新規事業の立ち上げに関する合宿や研修、有給休暇用の「ワーケーションオフィス」として年内に運用を始めるという。

 こうしたワーケーションの需要を満たし、今後も白浜にIT企業などを誘致するため、県は町内の遊休施設の活用など新たなオフィスの供給を検討。「日本のシリコンバレー」とする壮大な構想も描いている。担当者は「ITが白浜の新たな主要産業になるよう、どんどん企業を誘致していきたい」と意欲をみせる。