【経済インサイド】相次ぐオープンイノベーション ベンチャー主導で迅速化 (3/3ページ)

パナソニックを休職して、チョコレートドリンク事業に挑戦する、ミツバチプロダクツの浦はつみ社長
パナソニックを休職して、チョコレートドリンク事業に挑戦する、ミツバチプロダクツの浦はつみ社長【拡大】

  • 三井化学とちとせバイオエボリューションは新たなオーブンイノベーションに乗り出すと発表した

 まずは社会に問う

 三井化学もバイオベンチャーの「ちとせバイオエボリューション」(シンガポール)と共同で、事業化と人材も育成するオーブンイノベーションに乗り出したと、10月に発表した。

 三井化学が持つ植物細胞培養技術を事業化する「植物ルネサンス」と、ちとせグループの微生物の働きを農作物栽培に応用し、野菜の味や香りを豊かにする技術を事業化する「ティエラポニカ」をそれぞれ、ちとせグループの全額出資子会社として設立した。

 すでに、両社には、三井化学から秀崎友則氏と有富グレディ氏がそれぞれ社長として出向している。

 ちとせバイオエボリューションの藤田朋宏・最高経営責任者(CEO)は「大企業の合意形成のプロセスから離れ、まずは『こういう社会を作りたい』という個人の意志を社会にぶつける作業が必要だ」と強調する。

 三井化学の福田伸・常務執行役員研究開発本部長は、協業の狙いを「研究開発をしてから顧客開拓する従来の方法ではなく、顧客のニーズという目線やスピード感を身につけ事業化を目指す」と意気込む。その一方、社長の2人は出向扱いで、「仮に事業化が難しい場合には、会社に戻れる」仕組みとした。

 これまで、多くの大企業には社内ベンチャーの仕組みはあったが、事業化に至らないケースが多かった。今回のような試みが広がるかは、大企業が失敗を恐れない企業文化や評価制度を作り、スピード経営に舵を切られるかが鍵になりそうだ。(上原すみ子)