【ゴーン事件を聞く】(上)「少数株主が受益者」徹底を (1/2ページ)

インタビューに答える経営共創基盤の冨山和彦CEO
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 日産自動車の前代表取締役会長、カルロス・ゴーン容疑者が逮捕され、世界に波紋を広げている。日本を代表する企業でコーポレートガバナンス(企業統治)が機能せず、トップの暴走に至ったのはなぜか。日産をめぐる問題点や今後の焦点など、識者に見方を聞いた。

 □冨山和彦・経営共創基盤CEOに聞く

 --日産のガバナンスの一番の問題点は何か

 「すべてをカルロス・ゴーン氏に依存するガバナンス構造であり、それで日産側のガバナンスを論ずるのはナンセンスだ。ゴーン氏という経営上の最高権者を本来監督するのがガバナンスだが、監督する取締役を大株主の仏ルノーの最高経営責任者としてゴーン氏が選んでいる。要は自分で自分を監督する人を監督する終身独裁官みたいな構造になっていた」

 ガバナンス機能せず

 --経営トップの暴走を阻止する仕組みがなかった

 「自動車メーカーのようにグローバルで激しい競争をしているところでは強烈なアクセルを踏める権力者をつくることは大事だ。だからこそ、強いブレーキを踏んで権力者を統制できるようにするのがガバナンスの役割。日産の取締役会は事実上トップの選解任権を持っていなかったが、それではガバナンスにならない。選解任権を持つことがガバナンスが機能する絶対条件だ」

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