これがクロスフォーカットへとつながる契機になった。クロスフォーカットは、はじめから特許取得を構想して戦略的に開発したものだったという。
このカットは、光の反射による効果で宝石の中にクロス(十字)のデザインが浮かび上がるというもの。その独自性が評価され、名実ともにメーカーとして歩み出すことになった。
2002年には社名も「クロスフォー」に変更。これを機に、原石の輸入販売会社から製造販売会社へのシフトを強めていくことになった。
◆「ダンシングストーン」誕生
他社にない商品の開発で市場開拓の準備を整えた同社は、07年には初の海外拠点として香港子会社を設立。成長市場であるアジアを視野に入れた展開に乗り出す。この香港子会社は、現在の同社にとって、海外展開を支える重要拠点になっている。
「独創性で新たな市場を生み出したい」。その強い思いは10年に大きく花開いた。同社の名を世界にとどろかせることになる「ダンシングストーン」を開発、この機構を採用した商品の投入が始まった。
鋭利にとがった接合部を持つ丸環でぶら下げた宝石は、人間の呼吸や鼓動といったわずかな動きにも反応。付けている限り動き続ける。動き続けることで光を反射し続け、これまでになくキラキラと輝くジュエリーという開発目標が達成された。
土橋氏の狙いは的中した。そのブランド名は国内にとどまらず、世界に広がっていった。13年には特許を取得。この際に同社は、日本のほか米国や中国など海外でも徹底して特許を取得している。これが、後に多くのロイヤルティー収入をもたらすことになる。
ダンシングストーンを需要の旺盛な海外市場、特に、中国を中心とするアジアで積極展開しようと、16年には香港子会社の下に中国法人を設立した。
同社にとって、目下の事業の中核は海外事業。そのさらなる拡大は至上命題だ。この時期に設立した子会社、孫会社はいまではその大きな足掛かりとなっている。