【2019 成長への展望】富士フイルムHD会長・古森重隆さん(79) (2/2ページ)


【拡大】

 --インスタントカメラ「チェキ」も、販売計画を17年度比3割増の1000万台に引き上げた

 「デジタルの流れの中で、アナログの新鮮味が受けている。撮ったその場で写真が出来上がり、『現実を固定化する』というインパクトも大きいだろう。写真本来の良さが見直されていることを、うれしく思う」

 --ヘルスケア分野の方針は

 「医薬に関しては、専業メーカーのような巨額投資でなく、身の丈に応じて伸ばす。薬の量が少なくても患部に効率よく届けるDDS(ドラッグデリバリーシステム)や、バイオ医薬の受託生産が重点分野だ。また、iPS細胞を用いる再生医療も日米2拠点体制にした。社会に価値のある製品を出す企業の使命を果たすため、歯を食いしばって先行投資を続けていく」

 --米ゼロックスの買収計画が膠着(こうちゃく)状態だ

 「実現すればベターだが、急ぐ必要はない。長年のパートナーであり、今後も提携関係は続いていく」

 --後継者指名についての考えは

 「再生医療に目鼻を付ける必要があり、米ゼロックスの問題も残っているが、その後は長期政権を担える人材に任せたい。トップがわずか4、5年で交代するようでは、何もできないからだ」

【プロフィル】古森重隆

 こもり・しげたか 東大経卒。1963年富士写真フイルム(現富士フイルムホールディングス)入社。富士フイルムヨーロッパ社長などを経て、2000年社長。12年から現職。長崎県出身。