今後どうすべきか
(1)統合化・広域化の推進
自治体内部で水道事業を見直し(浄水場の削減、IoT化)、自治体同士の広域連携を進め、流域ごとに広域化する。既に水道企業団方式で展開されているので、規模拡大を目指す。
(2)官民連携の推進
筆者にいわせると、日本の水道は今まで全て官民連携で運営されてきた。民間の技術とノウハウで装置がつくられ、行政上の責任、水源の確保(水利権など)、料金徴収を官が行ってきた。今回の改正法の趣旨は、運営や経営を含めた官民連携である。簡単にいえば、民間も知恵と資金を出し、水道事業に主体的に関わることを期待している。
(3)地域に合わせた解決法を
これからの水道事業は、官がやっても民がやっても料金値上げは避けられない。今回の改正法では、値上げの程度をいかに縮小するかが問われている。
また、コンセッション方式でも、結果として民営化と同じ課題に直面する可能性があるため、対策が必要である。
コンセッション方式では、特別目的会社(SPC)が水道事業を運営することになるが、必ず官(自治体)が株主として入り、ガバナンスと財務内容チェックの権限を持つことが求められる。もしくは、国が独立した監査機関(ライセンスの評価、剥奪の権利を持つ)を設けることが必要だ。
水道法の第1条には「清浄にして豊富低廉な水の供給を図る」と明記されている。その精神に基づき、水道事業に関する国民的論議が起きることを期待している。
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【プロフィル】吉村和就
よしむら・かずなり グローバルウォータ・ジャパン代表、国連環境アドバイザー。1972年荏原インフィルコ入社。荏原製作所本社経営企画部長、国連ニューヨーク本部の環境審議官などを経て、2005年グローバルウォータ・ジャパン設立。現在、国連テクニカルアドバイザー、水の安全保障戦略機構・技術普及委員長、経済産業省「水ビジネス国際展開研究会」委員、自民党「水戦略特命委員会」顧問などを務める。著書に『水ビジネス 110兆円水市場の攻防』(角川書店)、『日本人が知らない巨大市場 水ビジネスに挑む』(技術評論社)、『水に流せない水の話』(角川文庫)など。