【経済インサイド】ゼネコン各社、若手確保へ建設現場でのロボット化急ぐ (2/3ページ)


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  • 鹿島が導入した外壁材の取り付けをサポートするロボット=平成30年11月、名古屋市

 鹿島は建築工事の生産過程を大幅に変える「鹿島スマート生産ビジョン」を策定、9月の完成に向け施工中の「鹿島伏見ビル」(名古屋市中区)で本格運用を開始した。資材の運搬や鉄骨の溶接、外装部材の取り付けといった工程でロボット化を推進。複雑な調整が必要な作業は技能者で対応するなど、人とロボットの共生を目指す。作業の進捗(しんちょく)状況の確認といった単純業務は遠隔管理で対応できるようにする。一連の取り組みによって作業の種類は半減。生産性は3割向上する見通しで、2025年までにすべての建築現場に導入する計画だ。

 押味至一(おしみ・よしかず)社長は「多くの若い人たちが建設業界に入ってくるようにするには、働き方がいかに変わっているのかを伝える必要がある。それには生産性の向上が不可欠」と強調する。

 清水建設も「シミズ・スマート・サイト」という次世代建築生産システムを本格導入した。内装多能工ロボットは6軸で自由に動き30キロの資材までをつかむことができ、天井ボードの取り付けなどを行う。ロボット化の推進に向け、AIセンターの設置や資金の積極投入によって周辺技術の間口を広げていく考えだ。

 大成建設は、鉄筋工事の約2割を占める結束作業を自動的に行うロボットを開発している。村田誉之社長は「専門工事業者との対話の促進によって技術開発のアイデアが生まれるかもしれない」と、ロボット化の推進には協力業者との緊密な連携が重要な役割を果たすとの考えを強調する。

 竹中工務店と大和ハウス工業グループのフジタが、本格導入に向け準備を進めている四足歩行ロボットは、自動で現場を巡回しカメラを活用して工事の進捗状況を管理したり、安全点検を実施する。

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