「女子会」「脇汗」「クールビズ」…市場を創る言葉たち4タイプ (2/4ページ)


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 市場を創造したことばの1つに「女子会」があります。女性だけの飲み会や食事会を表すことばとして定着していますが、もともとは、リクルートライフスタイルのクーポンマガジン「HOT PEPPER」が、居酒屋チェーンの「笑笑」を運営するモンテローザと「わらわら女子会」という女性専用のプランメニューを09年から提供したことが始まりのようです。

 居酒屋といえば男性が利用するイメージが強いですが、担当者によれば、実は主婦や女子大生など、女性同士の食事の場としても利用されている事実があったそうです。その事実にラベルをつければ売れると考え、「女子会」と名付けたところ、大ヒットしました。さらに、「女子会プラン」をモンテローザだけで独占せず、他社でも展開することで、飲食業界全体に波及しました。

 同じ「HOT PEPPER」で失敗した例に「サマ会」があります。暑気払いにラベルをつけることで、夏の宴会需要を高めるのがねらいでした。みんなで日頃の労をねぎらう「おつかれサマ会」、ひとりで楽しむ「おひとりサマ会」などのコピーを用意したものの、「女子会」のように裏付ける事実がなかったため、普及しませんでした。

 「加齢臭」も市場を創ったことばの1つです。資生堂が99年、「ノネナール」という物質が中高年者の独特の体臭の原因であることを発表し、命名しました。科学的な根拠と同時に、その体臭に対する中高年の不安という事実があることで、このことばがインパクトを持って受け入れられたのでしょう。

 これらの例を踏まえると、市場を創造することばは、あらかじめことばになっていない事実があり、それに適切なラベルを与えることによって、その事実が顕在化し、多くの人の関心を集め、それにまつわるさまざまなビジネスに展開すると考えられます。逆に言えば、どれだけうまいことばをつくったとしても、そのことばが表す事実がなければ、市場創造にはつながらないということです。

ことばをつくるには、2つの方法