「女子会」「脇汗」「クールビズ」…市場を創る言葉たち4タイプ (3/4ページ)


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 そうしたことばをつくるには、2つの方法があります。1つは「一からことばをつくる」方法です。例えば、「公園デビュー」ということばは、光文社の「VERY」という雑誌から生まれました。以前は、結婚・出産を20代でする人が多く、公園に子どもを連れていってもコミュニティに入りやすい状況がありました。しかし、昨今は結婚・出産のタイミングが人によって大きく異なり、親のバックグラウンドも多様化したため、公園でのコミュニティづくりが一大事になってしまった。その状況をうまく表したことばと言えます。

 もう1つは、認知科学でよく言われることですが、「既知なるものから未知なるものを類推する」方法です。例えば、「ゲリラ豪雨」ということばがあります。気象の専門家によると「局所的豪雨」が正しい表現だそうです。しかし、我々素人にすれば、「ゲリラ」ということばは、「いつどこに現れるかわからない」ことのメタファーとしてわかりやすく、すっかり定着しています。

 すでに知っていることばとくっつけることも有効です。例えば、「婚活」ということばは「就活」から派生したことばです。「活」の前に別の漢字をくっつけることで、何かを一生懸命やるという意味として捉えられやすくなるわけです。2文字で表現できると、メディアでも使いやすいため、「終活」「妊活」「美活」「朝活」など、さまざまなことばが生まれています。

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 市場を創造することばは、4つの類型に整理することができます。

 1つめは「呼称」です。「コギャル」「美魔女」「草食男子」などのように、ある種の特徴を持つ人々を表します。

 2つめは「行為」です。「婚活」「クールビズ」「断捨離」など、ある種の行動を表します。

 「呼称」や「行為」のことばには、よい面と悪い面があります。よい面を挙げると、「女子会」や「婚活」ということばは、それを行う人たちを解放することにつながりました。「女子会」は女性同士で外で飲むことのハードルを下げましたし、「婚活」は結婚相手の紹介サービスを利用しやすくしました。悪い面としては、ことばができることで、特定のイメージを押しつけられたと感じ、不快感や拒否感を覚える人もいるということです。

3つめは「脅威」