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間伐材などをバイオプラ原料に 清水建設が「リグノフェノール」研究施設を建設 (2/3ページ)

 植物の細胞壁は、多糖類高分子のセルロース、ヘミセルロースと芳香族高分子であるリグニンの三大要素で構成されている。特に木材の場合は、この三大要素が全体の9割を占めており、なかで2割から3割がリグニンで、豊富に存在している。

 セルロース、ヘミセルロースは製紙原料として利用され、その過程でリグニンも副産物として抽出される。しかし、リグニンは紙を黄ばませてしまうことから、製紙工程では排除される。この段階で取り出されたリグニンは、低分子化しているため、使い道は少なく、コンクリート用の混和材として実用化された以外は燃料として活用される。

 これに対し、リグノフェノールは、化学反応を利用して木材から直接リグニンを素材として活用可能な形で、なおかつ高分子に近い状態で抽出したものだ。他の樹脂と混ざりやすい特性を持つ天然の樹脂材料であり、バイオプラスチック原料としてさまざまな用途への応用が考えられる。

 害少なく難燃性高い

 清水建設などがまず実用化に近いと想定しているのが、各種化成品の重要原料であるフェノールの代替だ。フェノール樹脂、接着剤、塗料などの原料をフェノールから、リグノフェノールに切り替えることでバイオプラスチック化できる。フェノールは有害性がある中で、そのリスクを減少させることにもつながる。塗料として、木材の表面に使った場合には漆のような独特の光沢になるメリットもある。

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