ブレグジットと言われているが…ホンダ「英国工場閉鎖」、その問題の本質とは (2/6ページ)

左はホンダの伊東孝紳前社長、右が八郷隆弘現社長
左はホンダの伊東孝紳前社長、右が八郷隆弘現社長【拡大】

  • 着々と規模の拡大をすすめる東風本田汽車有限公司
  • 東風ホンダでは現在武漢に第3工場を建設中。19年前半から稼働が開始すると生産能力は60万台となる

 では、どうやって速度を上げるのかと言えば、営業(Sales)・生産(Engineering)・開発(Development)・購買(Buying)各部門の連携を高め、能力を向上させることになる。その部分が以下だ。

 「そこで、従来の商品開発体制をさらに進化させ、S・E・D・Bの各部門が部門を超えて、より協調と連携ができるように、二輪事業本部と二輪R&Dセンターを組織として一体化させます。この体制により、新商品の企画構想、開発、生産立ち上げ、量産を一貫して行い、商品魅力のみならず、コスト、品質、開発スピードを高め、グローバルでの競争力を確保していきます」

 この連載の読者なら見覚えがあるだろう。これはまさにトヨタがTNGAでやっていることだ。従来の縦型組織を、製品軸ごとの小さなチームに組み替えるという意味だ。

 例えば、開発なら開発の大きな組織の中で議論と調整を積み重ねてせっかく仕様を決めても、調達とすり合わせれば事情が変わってくる。そこでまた開発に話を差し戻して練り直しになる。これがS・E・D・Bの全ての階層で何度も差し戻されれば、工数は膨大に膨れ上がる。こういう「部分最適」で精密にチューニングを済ませてから次工程で「全体最適」のバランスを取るというトーナメント方式的なやり方では無駄が多すぎる。

 なので、各部署から意思決定権を持つ最低限の人数を招集して、最初から全体最適を織り込んで事業を回すやり方に変えようというのが今回の話だ。

 決定に関わるメンバーを関連する事業全体に広げつつ、人数はむしろ最低限に減らすことで意思決定の速度を上げようとしている。

 現時点ではこれは二輪だけの取り組みだと言うが、うまく結果が出れば、やがてそれは四輪にも適用されるだろう。むしろそうしていかないとマズい。

 英国工場の撤退

 さて、すでに多くの方がご存じの通り、ホンダは英国とトルコの四輪生産工場を閉鎖する。国や自治体、労働者との撤退条件の話し合いはこれからだ。

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