EVで最も重要な部品は電池だが、現在のリチウムイオン電池では、安全性と性能向上を同時に達成することができないとされ、こうした欠点を克服する全個体電池の開発に多くのメーカーが注力している。
トヨタはパナソニックと共同で、低コスト、高エネルギー密度、安全性に優れた全個体電池など高性能電池の開発に取り組むため、トヨタ51%、パナソニック49%の出資により合弁事業を開始することを決めた。
現在、中国メーカーがEV用電池シェアの60%を占めており、中国CATL、BYDなどは生産能力の大幅な拡張を計画している。また、韓国のサムスンSDI、LG化学なども能力拡張を急いでいる。こうした中韓企業との競合を勝ち抜くには、パナソニックとトヨタのノウハウを持ち寄ることが必要との判断だろう。製品はパナソニックのルートで他の自動車メーカーにも販売されると報道されている。
テスラとの共同事業で力を付けたパナソニックとトヨタの協業は、成果を生む可能性が高いと思われる。かつて蓄電池で世界一のシェアを持っていた日本企業が、世界市場で中韓企業を相手にシェアを奪うことも期待できそうだ。
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【プロフィル】山本隆三
やまもと・りゅうぞう 常葉大学経営学部教授。京大卒業後、住友商事に入社。地球環境部長などを経て、2008年プール学院大学国際文化学部教授、10年から現職。財務省財務総合政策研究所「環境問題と経済・財政の対応に関する研究会」、経済産業省産業構造審議会臨時委員などを歴任。現在、国際環境経済研究所所長、NEDO技術委員などを務める。著書に『経済学は温暖化を解決できるか』(平凡社)、『夢で語るな日本のエネルギー』(マネジメント社)など。