TDKは、電子基板に実装するチップ型の「セラチャージ」を開発。同社によると、「ボタン電池と置き換えれば、搭載機器を小型化でき、充電も可能」という。既に月3万個のサンプル生産は行っているが、今年中ごろには本格量産に乗り出す考えだ。
セラミック系は、富士通系電子部品メーカーのFDKも昨年12月にサンプル出荷を始めており、村田製作所は19年度中の製品化を視野に入れる。容量など多少の違いはあるものの、各社とも小型のIoT(モノのインターネット)機器やウエアラブル機器などでの使用を主に想定している。
自動車への供給見据え
一方、電解質に硫化物系の無機材料を使った電池も実用化が迫っている。その先頭を走るのが日立造船だ。
同社は厚さ0.3ミリのシート電池を開発。19年度中の商品化を目指し、サンプル出荷を始めている。計画通りなら、硫黄化合物系の実用化は初めてとなる。
子会社で手掛けるプレス機の技術を活用し、粉末の電解質を押し固める技術を確立。液体を何度も乾燥して固体にする既存手法に比べ工程を省け、低コスト化できるという。「まず宇宙空間で使われる電子機器など、特殊用途向けに売りたい」と同社。将来的には大きな需要が見込まれる自動車への供給も見据える。