だが、多くの企業では簡単に進まない。障壁の一つは、分析の対象となるデータを集められないことだ。購買データは販売管理システム、顧客情報は顧客管理システム、などのようにシステムが別々に存在し、データが分散している。購買情報と顧客情報とを関連付けることが意外と難しい。外部の分析基盤が安価になるのに対して、社内システムの取り扱いでコストがかかるという皮肉な状況になる。
データを取り出せたとしても、欠損値があったり、正確に入力されていなかったりする。「クレンジング」という作業によってデータを補完するのだが、地道で時間を要する。システムを古くから使ってきた企業であるほど、データ量は膨大であり手間がかかる。
それでもデータ分析は進めるべきだ。大抵の企業は、「顧客の行動には、こういう傾向がある」という経験則を持っているのだが、それを数値として定量化できていない。分析結果が経験則と一致(または不一致)していることが分かるだけでも大きな成果だ。
最初から大きな投資を行ってデータ蓄積や分析の基盤をそろえる必要はない。手元にあるデータを基に、できる範囲で行う。「どういった人が、何を、いつ、いくら購入しているのか」を洗い出す。「なぜこの人が、この行動をしたのだろうか」という疑問をリストアップし、その背景を考える。いわゆるカスタマージャーニーを描くわけだ。