高論卓説

通商合意急がず…中国の弱点見抜いた米 交渉は長期化覚悟 (2/3ページ)

田巻一彦

 そこを中国が握ってしまえば、最終的に軍事的な対米優位も確立し、中国の覇権が名実ともに打ち立てられるとの危機感が、米国にはあるとみられる。

 米国は、知的財産的価値のある情報の開示を求める中国側の対応の見直しを求め、中央政府や地方政府による企業に対する補助金の大幅もしくは全面的な削減も求めている。

 しかし、「中国製造2025」の中でも示されているように、国や地方政府の支援は中国の経済政策の根幹であり、この見直しは中国が推し進めてきた中国流の市場経済運営の見直しにつながる。正面切って譲歩すれば、習近平・国家主席の政権基盤にも影響が出かねず、短時間での合意形成は難しい。

 従って大胆に予測すれば、市場が期待するように6月に大阪で開催される20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)に合わせた米中首脳会談で、米中通商交渉が最終合意に達する可能性はかなり小さい。

 また、米国は中国の弱点を見抜いた可能性がある。一つは半導体内製率の低さであり、もう一つは過剰債務体質だ。

 ファーウェイが今回の大統領令で生産体制に支障をきたせば、ZTEに対する米国企業との取引停止という制裁措置(北朝鮮、イランに対する禁輸措置違反)で、半導体不足による生産停止に陥ったことと合わせ、半導体の内製比率の低さが、中国経済の脆弱(ぜいじゃく)性の象徴であると印象付けるだろう。

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