プロジェクト最前線

やりがい、社会課題解決を両立 一般社団法人PLAYERS 「&HAND」 (1/3ページ)

 仕事の専門知識やスキルを生かした社会貢献活動「プロボノ」が、新たなビジネスの可能性を生み出している。一般社団法人PLAYERSは、身体・精神的な不安や困難を抱えた人と、手助けをしたい人をマッチングするサービス「&HAND(アンドハンド)」を開発。大手企業との連携により、やりがいと社会課題解決の両立を目指して活動している。

きっかけは「妊婦」

 PLAYERS主宰の瀧澤啓太さん(40)は、広告代理店に勤めながら社会課題の解決に取り組んでいる。&HANDに取り組むきっかけとなったのは約10年前、マタニティーマークとの“出会い”だ。

 瀧澤さんが1人目の子供を妊娠した妻に付き添い、電車を乗り継いで通院した帰りのこと。帰宅ラッシュの車内で、妻を座らせたいと考えた。「そのとき、当たり前のように席を譲ってくれたサラリーマンを見て、『格好いい』と思った。自分はこれまでにマタニティーマークを付けた人に席を譲っていなかったから」(瀧澤さん)

 約3年前には、マタニティーマークの認知度の低さを知った。インターネットで検索すると、マタニティーマークを付けている妊婦が嫌がらせを受けてしまう可能性がある、という指摘が多かったためだ。本来、妊婦に配慮するためにつくられたはずのマタニティーマークが、その役割を担っていなかった。

 「電車やバスで席に座ると、多くの人がスマートフォンに夢中になり、妊婦の存在に気づかない。ただ、きっかけさえあれば、席を譲ろうと考える人は多いはずだ」(瀧澤さん)

 瀧沢さんはPLAYERSで、「座りたい」と「譲ります」をつなげる仕組み「スマート・マテニティマーク」を考案した。2016年夏には、グーグルが主催したコンテストでグランプリを受賞。17年2月には試作品を完成させた。妊婦が、キーホルダー型のデバイス(電波送受信機)のスイッチを入れると、事前にアプリをインストールした乗客のスマホに通知が届く。乗客は妊婦の存在に気づき、席を譲る。スマホ画面から目を離さない現状を逆手に取り、両者をマッチングするユニークなアイデアだった。

 なぜ、PLAYERSは短期間で試作品を完成できたのか。

 瀧澤さんは「プロボノだけでは事業化は難しい」と考えた。そこで、会員制交流サイト(SNS)を通じて協力を呼び掛けたところ、大企業の会社員らが個人の立場でワークショップに参加してくれた。集まった仲間は、自分の会社でアイデアを披露し、大企業をプロジェクトに巻き込むことに成功した。

 一方で、事業の課題も浮き彫りになった。(1)妊婦、支援者がともに専用アプリをダウンロードする必要がある(2)東京圏の出生数が約29万人であることを考慮すると、マネタライズが難しいこと-だ。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus