高論卓説

物言う株主とプロ経営者 外部目線が全て正しいわけではない (2/3ページ)

 だが、その一方で、過度な権利行使は、資本の論理を振りかざした経営への介入として違和感を覚えることも確かだ。特に株主利益が極大化することが何にもまして優先されるとする一方的な要求には、経営者のみならず従業員、取引先といったステークホールダー(利害関係者)でなくとも、眉をひそめるのではなかろうか。特に日々の業務に携わる従業員は、物言う株主の要求が、長い目でみれば企業の体力、競争力を減殺させてしまいかねないケースが少なくないことをよく知っている。

 同様のことは、企業の立て直しや創業者が招く俗に「プロ経営者」と呼ばれる人材についても当てはまる。何をもってプロ経営者と称されるのかは定かではないが、企業の創業や経営で実績を残し、いろいろな企業から立て直しの依頼を受ける著名人という評価ではないだろうか。MBA(経営学修士)などの企業経営に関する高い資格を有している方も散見される。

 しかし、少なからず筆者が見聞きしたプロ経営者と呼ばれる方々の行動が常に正しく、当該企業にとって有益であったというわけではない。最終的に企業を立て直すのは現場の従業員であり、当該企業の本当の業務を熟知しているわけではない外部から招聘(しょうへい)されたプロ経営者は、そうした企業の活力を取り戻す環境整備を行うことにこそ意味があるのではないだろうか。

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