いまエネルギー・環境を問う 竹内純子の一筆両断

エネ・環境相会合でみせた「日本の奇跡」 (1/3ページ)

 今年わが国はG20の議長国を務め、多くの会議がこの日本で開催されました。6月中旬には長野県軽井沢町において、「持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合」が行われました。略して「エネルギー・環境大臣会合」と呼ばれていましたが、正式名称を見ると世界の持続可能な発展について話し合う、大事な会議であることが伝わってきますね。

 ただ、このエネルギー転換と環境に関する会合は、2年前に米国のトランプ大統領が参加するようになってから、全体の取りまとめがとても難しくなっています。トランプ大統領は気候変動問題に懐疑的であり、オバマ政権時代に米国が掲げた目標は、中国など他の国と比べて達成に向けた負担が大きく不公平であると主張し、パリ協定の離脱を宣言したためです。この2年ほどは、共同声明が出せず議長の声明にとどめたり、米国とそれ以外を書き分けるなど、G20としてのまとまった意志を示せませんでした。今回も統一的な成果文書を示すことは正直難しいのではないかと、ささやかれていたのです。ところが一発大逆転。すべての参加国をまとめる形で成果文書が採択されました。参加者から「ミラクルだ」との声も聞かれたこの成果が、なぜ出せたのかを私なりに考えてみたいと思います。

 最大の理由は、イノベーションの重要性を前面に出したことでしょう。これまでこのコラムでも書いた通り、経済発展を果たしながら大幅なCO2削減を進めるには、イノベーションが必須です。世界各国が国連に提出した、低炭素社会への転換に向けた長期戦略においても、イノベーションが必須であることは明確に述べられています。先日政府が閣議決定をした日本の長期戦略もイノベーションの重要性に触れ、かつ、他の国よりも踏み込んでそれぞれの技術のコスト目標も掲げました。

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