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難培養アーキアの分離培養に成功/「エネルギーがゼロ」の束縛状態を観測 (2/3ページ)

 本研究成果は、ブラックボックスとなっている自然界の物質循環における微生物の役割の解明や、まだ謎の多いアーキアの進化の理解に大きく貢献すると期待できる。

【プロフィル】加藤真悟

 かとう・しんご 2009年東京薬科大学大学院生命科学研究科博士課程後期修了。博士(生命科学)。理化学研究所基礎科学特別研究員、デラウェア大学客員研究員(日本学術振興会海外特別研究員)、海洋研究開発機構特任研究員などを経て、18年4月から現職。好熱性アーキアや鉄酸化細菌など、難培養微生物の生理・生態学研究を進めている。

 ■コメント=地球上に生息する全ての微生物種を分離培養して、その生態・進化を解き明かしたい。

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 理化学研究所 創発物性科学研究センター 創発物性計測研究チーム 研究員・町田理

 「エネルギーがゼロ」の束縛状態を観測

 通常、固体中に存在するホール(正孔)や電子といった粒子には、区別可能な反粒子が存在する。一方で、理論的には粒子と反粒子の区別がつかない粒子が存在可能であり、これを「マヨラナ粒子」と呼ぶ。マヨラナ粒子は、電荷を持たず、エネルギーが厳密にゼロの奇妙な粒子で、トポロジカル超伝導体の端部や超伝導電流の渦である「量子渦」に局在すると考えられている。

 マヨラナ粒子はノイズに強い次世代量子計算の基本要素として期待されており、マヨラナ粒子の実験的検証が試みられてきた。しかし、これまでの測定ではエネルギー分解能が不十分で、決定的な証拠が得られていなかった。

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