高論卓説

商業主義横行、オリンピック 「平和の祭典」再認識を (2/2ページ)

 投資家もスター選手のパフォーマンスに注目し、同時に関連企業にも注目するのだ。ただ、IOCの定めるオリンピック憲章の使命と役割の中に、「スポーツと選手を政治的または商業的に不適切に利用することに反対する」とあるが、何が不適切であるのか判然としない。

 むしろ、IOC自身が商業的に不適切に利用している。なぜ、猛暑の7月にオリンピックを開催するのか、それはテレビ放映権料のためであり、「アスリート・ファースト」を無視している。IOCも日本オリンピック委員会(JOC)も商業主義に支配され、さまざまな問題が日常のものとなっている。

 IOCがプロのオリンピック出場を認めた代償として、アンチ・ドーピング問題を厳格に扱うようになった。公平な状態で試合をする、薬物によって健康を害してはならないからである。ドーピングは、世界反ドーピング機関(WADA)によって管理されているが、オリンピック種目でなくとも、あらゆる競技でドーピング・チェックをすべきだと定めている。わが国の大相撲力士も、その例にもれないのだ。

 またIOCは、国連本会議で満場一致で採択されたオリンピズムの根本原則である「オリンピック・ムーブメント」の普及と定着に努力中である。「フェアであるべきだ」「スポーツマン精神を持つべきだ」「品性・品格を持つべきだ」という理想を人類が持ち、世界中が平和でより良い世界の構築に貢献することを目的としている。

 しかし、東京オリンピック開催まで、あと1年を迎えた今月24日、各紙の報道は、「平和」についての論及が不足していた。私たちは、もう一度、オリンピック・ムーブメントについて復習しなければならない。でないと、東京オリンピック開催の意義を見失う危険性がある。オリンピックは、「平和の祭典」であることを再認識したいものである。商業主義だけであっていいはずがない。

【プロフィル】松浪健四郎

 まつなみ・けんしろう 日体大理事長。日体大を経て東ミシガン大留学。日大院博士課程単位取得。学生時代はレスリング選手として全日本学生、全米選手権などのタイトルを獲得。アフガニスタン国立カブール大講師。専大教授から衆院議員3期。外務政務官、文部科学副大臣を歴任。2011年から現職。韓国龍仁大名誉博士。博士。大阪府出身。

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