プロジェクト最前線

アエラホーム「クラージュDプラス」 「北海道基準」高断熱、同一価格で実現 (3/4ページ)

 有馬氏は、現場関係者と何度も顔を突き合わせ、断熱材を所定の位置に据え付ける際に混乱が起きないよう、作業工程などを丁寧に説明した。同時に、屋根の断熱材の据え付け作業が法的に認められるのか、の確認にも追われた。インテリアコーディネーターの資格を持つ設計監理課の川嶋美鈴主任も、有馬氏をサポートした。

 商品開発を担当した山口ゆかりさんは、クラージュDプラスの2つのメリットに自信を持っている。一つは、断熱性と気密性が高まって快適となった小屋根裏空間の活用だ。蒸し暑い夏に小屋根裏に上がるのは大変だが、クラージュDプラスなら屋根で断熱しているため、天井で断熱している住宅と違い、他の室内空間とほぼ同じ環境なので活用しやすいというわけだ。山口さんは「一般の方は冬に断熱性能が必要だと考えているが、実は夏にこそ大切」と訴える。

 もう一つは、国から補助金が支給される省エネ住宅「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」(ZEH、ゼッチ)の認定を受ける際に有利になることだ。ZEHは、太陽光発電などの再生可能エネルギーの設備が必要で、ここで創り出すエネルギーが消費エネルギーを上回らなくてはならない。断熱仕様で冷暖房費を抑えられれば、再生可能エネルギー設備の容量を少なくできる。山口さんは「都内近郊の狭小地の戸建て住宅で、認定を受けやすい面もある」と話した。

 国の普及策もあってZEH基準の住宅は増えつつあり、メーカー間の競争は激しくなるばかりだ。今後の展開について、有馬氏は「お客さまに健康で快適に暮らしてもらえる家を、適切な価格で提供していきたい」と話している。(鈴木正行)

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