高論卓説

地銀生き残りの鍵は 機能強化へ異業種連携が不可欠 (1/2ページ)

 地方銀行の生き残りをかけた複数の戦略が動き出した。筆頭はSBIホールディングスの北尾吉孝社長が打ち出した「第4のメガバンク構想」。SBIが過半を出資して持ち株会社を設立し、そこに全国の地銀やベンチャーキャピタル、運用会社などが出資して協力関係を築く。持ち株会社は参加する地銀などの業務システムやフィンテックなどのインフラや資産運用の受託ほか、人材の供給、マネーロンダリングの対応など幅広い商品・サービスを提供する、いわば「プラットフォーム」と言っていい。(森岡英樹)

 北尾氏は、「第4のメガバンク」のコンセプトは「社会課題解決型ビジネスモデル」であり、地方創生のためには地域金融機関の機能強化が欠かせないと説く。そのひな型は、「信用金庫業界の中央銀行といっていい『信金中央金庫』や農林系統金融機関の資産運用を一手に担う『農林中央金庫』のようなイメージではないだろうか」(地銀幹部)と受け止められている。

 実はこの構想は、自民党の金融調査会「地域金融機関経営力強化プロジェクトチーム」の提言とオーバーラップしている。金融調査会の会長である山本幸三氏は、プロジェクトチームの提言について、「地銀も系統運用機関をつくるべきだ。地銀のトップたちに提言し、どう対応するか見ている段階だ」と指摘している。

 「第4のメガバンク構想」には島根銀行と福島銀行が参加を決め、SBIグループが両行に出資、筆頭株主に躍り出る。「地銀10行くらいから(打診が)きている」(北尾氏)とされ、参加行の拡大が見込まれる。

 2つ目の戦略的な動きは、経営再建中のスルガ銀行について、創業家がファミリー企業経由で保有している同行の全ての株式(13%強)を家電販売大手のノジマが取得することだ。ノジマは既にスルガ銀の5%弱の株式を保有しており、今回の追加取得で保有比率は18%強に上がり、筆頭株主に躍り出ることになる。

 さらにノジマは出資比率を高めたり、役員を派遣したりしてスルガ銀を持ち分法適用会社にすることも視野に入れているとされる。事業会社が銀行を買収する新たな局面に入る可能性もあり、波紋を広げそうだ。

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