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あまりに韓国的な映画「パラサイト」ヒット 極貧「半地下」生活は無縁でない (2/3ページ)

波溝康三

 「私が学生時代にも半地下で暮らしている友人がいましたよ」とポン・ジュノ監督は苦笑し、こう続けた。「今もソウルには5~10パーセントの人たちが半地下で暮らしているといわれています。彼らの生活は映画でも描きましたが、外から家の中が丸見えでプライバシーもなく、洪水になれば、家の中は泥水であふれ、不衛生で極悪の環境です。そんな恐怖の中で日々暮らしている人たちがいることを、この映画で伝えたかった」

 ハリウッドスターを起用し、壮大な地球温暖化というテーマを描いたSF大作「スノーピアサー」(2013年)で世界進出したポン・ジュノ監督だが、「パラサイト」では、あえて今の韓国の社会問題に目を向けたかったという。

 経済格差問題は世界的課題

 「パラサイト」は、今年のカンヌ国際映画祭のコンペ部門にノミネートされ、パルムドールを受賞したことで俄然、世界から注目を浴びることになる。これは韓国映画として初の快挙だった。

 カンヌの発表前、ソウルで行われた記者会見で、ポン・ジュノ監督は、「おそらく海外の観客はこの作品を100%理解することはできないでしょう。この作品はあまりにも韓国的で、韓国の観客が見てようやく理解できるディテールが散りばめられているから」と語っていた。

 だが、この心配は杞憂に終わる。カンヌでは審査員が満場一致でパルムドール賞に選定。

 さらに、来月9日、ロサンゼルスで受賞式が開催される米アカデミー賞で作品、監督賞など6部門にノミネートされたのだ。最高賞である作品賞へのノミネートは韓国だけでなくアジア映画として史上初の快挙だ。

 「パラサイト」を始め、近年、格差社会をテーマにした秀作映画が世界各国で相次いで製作されている。

 昨年、世界で話題を呼んだ、米の気鋭、ジョーダン・ピール監督の新作「アス」(2019年)は、米国の裕福な家族と、底辺の社会で生きる家族との対比をホラーで描いた。アプローチこそ違うが、現代米国の格差社会の問題に斬り込んだ力作で、「パラサイト」との類似点は多い。

 また、一昨年のカンヌでパルムドールを獲得した日本の是枝裕和監督の「万引き家族」も、「パラサイト」と同様、日本の極貧家族の視点から現代社会を描き、世界各国の映画関係者から絶賛された。

 なぜ、同時期に世界の映画監督が、経済格差社会をテーマに新作を描くのか?

 「同じテーマでの映画化はまったくの偶然ですね。ただ、世界の国々で、同じような状況に置かれ、苦しんでいる人たちが少なくない事実を示しているのでしょう。監督たちは、その問題が避けられない現代社会の重要な課題であると自覚している。むしろ、この問題をテーマに描かない方が、映画監督の生き方としておかしいと思っているはずです」

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