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あまりに韓国的な映画「パラサイト」ヒット 極貧「半地下」生活は無縁でない (3/3ページ)

波溝康三

 誰もが直面している不安と恐怖

 「パラサイト」で、半地下家族と対比されるのが、ソウルの丘の上にある高級住宅街の豪邸で4人で暮らす裕福な家族だ。

 「片や半地下。片や二階建ての豪邸…。映画では、“希望(豪邸)”と“恐怖(半地下)”を対比しているのですが、誰もが、どちら側で生きていくのかは、実は紙一重だと思います。現代社会では、今、どちら側にいても安心はできません。誰もが、真っ逆さまに落ちていく可能性があるのです」

 長引く不況、リストラ…。日本も経済格差問題と無縁ではない。 「私が尊敬する監督の一人が日本の黒澤明監督です。今回の映画でも黒澤監督の『天国と地獄』などを参考にしているんですよ。日本の映画ファンに、『パラサイト』が、どう映るかは興味津々ですね」

 米アカデミー賞の発表が近づくほどに、「パラサイト」は一層、世界から注目されそうだ。

 格差社会に問題提起した一本の映画が、今後、世界の先進諸国に、どんな影響をもたらすのか、興味は尽きない。 

波溝康三(なみみぞ・こうぞう) ライター
 大阪府堺市出身。大学卒業後、日本IBMを経て新聞記者に。専門分野は映画、放送、文芸、漫画、アニメなどメディア全般。2018年からフリーランスの記者として複数メディアに記事を寄稿している。

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