近ごろ都に流行るもの

離れていても「高齢家族の見守り」 安否確認に楽しみをプラス (1/2ページ)

 正月に帰省し、老親や祖父母の暮らしが心配になった人もいるだろう。離れて暮らす高齢家族の「見守りサービス」が多様化している。窮屈な監視カメラなどではなく、IoT(Internet of Things)によって楽しく交流しながら無事が確認できるツールが登場。家電やガスの使用状況による月額ワンコイン程度の安否確認も、手軽さからユーザーを増やしている。(重松明子)

 ある日曜日。東京都練馬区内の一軒家に住む会社員の山口香澄さん(28)がスマートフォンのアプリを起動し、夫の高弘さん(47)と1歳8カ月の長女が遊ぶ様子を撮影していた。「送信します」。かわいい盛りのひ孫の姿を、岡山市内で2人暮らしの80代後半の祖父母宅のテレビが受信する。山口さんのスマホには「見始めました」との知らせが…。

 「毎日朝晩必ず見ており、安否確認という思わぬ副産物に気付きました」と高弘さん。利用しているのはIoTベンチャーのチカク(東京都渋谷区)が開発した動画・写真共有サービス「まごチャンネル」。パソコンやスマホを持たない高齢者を想定し、テレビでプライベートな画像を視聴できる仕組み。スマホと同様の通信回線を搭載した高さ4センチ、幅12・5センチ、奥行き13センチの受信ボックス(1万9800円)をテレビにつなぐだけ。月額使用料は1628円だ。

 ネット環境のない祖父母。山口さんは以前は写真をプリントして送っていたが、手間がかかって続かない。そのため、いとこ4人に呼び掛けて1年前の米寿のお祝いに「まごチャンネル」をプレゼントした。それぞれが子供(祖父母にとってはひ孫)の動画や写真をひんぱんに送信。親族10人が専用アプリを共有し、送った動画や写真を見せ合っている。

 「それぞれの家族の様子も手に取るようにわかる。社会人になって各地に散らばり、集まる機会のなくなったいとこ同士が、再びつながることができた」と香澄さん。テクノロジーが、昔ながらの親戚付き合いと相互見守りを復活させた格好である。

 チカクの梶原健司社長(43)は、元アップル・ジャパンのiPod事業責任者で、6年前に工学系研究者らとともに起業。3年半前に発売した「まごチャンネル」の出荷は1万台を突破した。「シニアが直感的に使えて、家族のコミュニケーションのぬくもりを感じられる仕組みを目指した」と梶原社長。

 そこに着目したのが、警備業界最大手のセコム(東京都渋谷区)だ。「たのしい、みまもり。」をコンセプトとする新サービス「まごチャンネル with SECOM」を今月8日に発売。標準の「まごチャンネル」よりも受信ボックスの値段が1万円、月額使用料も200円高くなるが、環境センサーを追加し照度、騒音、温度、湿度などを測ることで、高齢家族の起床から就寝、熱中症の危険性などが常時把握できる。

 「動画や写真を楽しめるシニア側のベネフィットはそのままに、見守りの価値を高めた。大事にしたのは、ほどよい距離感。うちの娘はもう大学生ですが、美術館に行ったなどの何気ない日常を80代の祖父母宅に送っています」と、セコムマーケティング部の伊達恵子担当課長(51)。初年度で6000件の契約を目指す。

 富士経済は、高齢者の「在宅用見守りシステム」市場が今年8億8500万円、5年後には12億5000万円に伸びると予測している。

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