リーダーの視点 鶴田東洋彦が聞く

(2-1)global bridge HOLDINGS・貞松成社長CEO (2/3ページ)

 専門斡旋会社と提携

 --保育士不足への対応が欠かせない

 「保育士に特化した転職支援のウェルクス(東京都台東区)と資本提携した。待機児童の解消には保育園の開設が不可欠で年間15カ所のペースで開園したいが、そのために必要な保育士を、23万人が登録するウェルクスから斡旋(あっせん)してもらう。質の高い保育士を確保するためだ」

 --保育園の差別化戦略は

 「就学支援学習、運動能力を伸ばす総合アスレチック、ICTの採用だ。小学1年生の準備として就学前能動的学習に力を入れている。3歳児から1人1台の机といすを与え、数量や図形、文字などを学ぶ学習プログラムを独自開発した。子供に習い事をさせることが難しい働く母親からの評価も高く『保育園でやってくれるとは目からうろこ』といわれる。また大型固定遊具『AINI(アイニー)』を使って跳躍力、支持力、懸垂力といった身体機能を鍛え、周りの子供たちと一緒に遊ぶことで人間力を磨く」

 ロボなどICT活用で働き方改革

 --ICTの活用は

 「保育士が足りない中、業務負担を減らし生産性を高めるため積極活用している。働き方改革にもつながる。保育士でなくてもいい仕事はロボットやシステム、機械に任せる。子供が寝ている間、保育士は5分に1回の頻度で息をしているか確認しなければいけない。これは保育士にとって大きな精神的・身体的負担になっている。そこで、昼寝中は子供の衣服にセンサーを付け寝返りや呼吸などを計測しデータ化。保育士とITのダブルチェックで負担を軽減、1施設当たり年間2600時間を削減でき、キャリアアップにつながる研修時間を多く取れるようになった。体を休める時間が必要な労働集約型産業にあって年間休日数も130日に増やすことができた」

 子供の1日を伝達

 --ロボットが活躍している

 「身長約70センチの保育ロボット『VEVO(ビーボ)』が、センサーで取ったデータを子供の帰り際に保育士に代わって保護者に教えている。例えば、子供の皮膚温度が通常より高いと、次の日に体調を崩しがちとデータから分かるので保護者に伝える。保育士と保護者は子供の送り迎え時に1分ぐらいしか話さないが、昼の献立や睡眠の様子など保護者が知りたい子供の1日の生活の記録をビーボが話す。それを元に保育士と保護者の話が膨らみ会話量は倍増する。『ロボットは合理的で事実のみを話すが、保育は人の目、心が必要』といってロボット活用に消極的な保育園もある。だが、ロボットが保育士の代わりに働く良さを知ってほしい。テクノロジー時代に合う保育を提案したい」

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