高論卓説

新型コロナ、中国の責任転嫁に絶句 (2/2ページ)

 SARSもコウモリを宿主とするウイルスが、ハクビシンを介して人に感染したとされている。新型コロナもコウモリが宿主で、それが海鮮市場の野生動物(センザンコウとする説あり)を介して人に感染したのではないかとされている。

 一方で昨年12月8日に発病した第1号患者は、過去に一度も華南海鮮卸売市場を訪れたことがないという情報もあり、武漢市内にある中国科学院武漢病毒研究所と武漢市疾病預防控制中心の2カ所の政府系のウイルス研究所のいずれかから、ウイルスが流出して感染が拡大したのではないかとの説もある。特に後者は、海鮮卸売市場に近接している。

 いずれにせよ中国当局が「原因不明のウイルス性肺炎」を初めて公表したのは12月31日で、「人から人」への感染を認めたのは1月20日になってからだ。27日から海外への団体旅行のみを禁止したが、春節期間中に中国人旅行者が移動し、世界中に感染が拡大したのは間違いない。中国は初動の遅れが世界中にこの感染症を拡散させたことを反省するとともに、発生の原因を究明する責任がある。

【プロフィル】森山博之

 もりやま・ひろゆき 旭リサーチセンター、遼寧中旭智業研究員。早大卒後、旭化成工業(現旭化成)入社。広報室、北京事務所長などを経て2014年から現職。大阪府出身。

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