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時速360kmの超高速車両も受注…世界の鉄道市場で日立が存在感を発揮するワケ (3/5ページ)

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部

“赤い矢”が取り持つ奇妙な縁

 英国で信頼と実績を積み重ねた日立の高速車両だが、最高速度だけみれば、フランスの「TGV」やドイツの「ICE」と比べ見劣りしてしまう。Class800は踏切のある在来線を走行するほか、信号システムが区間によって異なるといった制約もあり、そもそも環境が異なるとはいえ、である。1964年10月の東海道新幹線開業以来、乗客の死傷事故ゼロ。安全性や定時運行、快適性を支えてきた高い技術水準は世界に誇るべきものだ。さはさりながら、高速鉄道の国際競争では、とかくその最高速度が注目されるのもまた事実である。

 リニアモーターカーを除くと世界最速の高速鉄道は中国の最高時速350キロ。2011年7月に浙江省温州で起きた追突事故後はしばらく最高時速を300キロに落としていたが、最高時速400キロの走行も可能とされる新型車両によって安全性が向上したとして、350キロに戻った経緯がある。日本国内では東北新幹線「はやぶさ」「こまち」の時速320キロが最速だ。

 最高時速360キロ。そんな欧州の超高速列車も日立製となることが決まった。日立はイタリアの鉄道運営会社トレニタリアと高速車両「Frecciarossa1000(フレッチャロッサ1000)」を受注。23編成を約8億ユーロ(約1000億円)で契約した。日立とボンバルディアのグループ会社がイタリアで設計、製造。2022年中にスペインで運行が始まる予定で、赤を基調とした流麗なデザインがイタリアのスポーツカーを想起させる。「Frecciarossa1000は速度も速く予算も大きい。日立が持っている新幹線車両の製造技術を十分に投入できます」と梅原さんも期待する。

 ちなみに、 Frecciarossaはイタリア語で「赤い矢」という意味らしい。赤い矢と聞いて、そういえば、日本にもそんな名の特急列車があったと思い出した。西武鉄道の特急「レッドアロー」である。実は現役を引退した初代レッドアローの5000系も、2代目となる「ニューレッドアロー」の10000系も日立製。奇妙な邂逅(かいこう)というべきか、洋の東西を問わず、"赤い矢"の特急を日立が作ることになったのだから不思議な縁である。

 

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