「コーヒー豆カスは、そのままでは肥料にならないそうですが、金澤バイオ研究所が開発した『HT菌』をはじめ、米ぬか、かき殻、大豆おから、茸菌床、竹パウダー、ビール麦芽粕、草などを混ぜることによって肥料にすることができたのです」
HT菌(=Hyper Thermophilic Bacteria)とは、高熱にも耐える細菌の働きにより、約90度の熱で原料を発酵させる金澤バイオ研究所独自の手法である。病原菌や雑草の種子が死滅するので安全な堆肥になり、完熟しているので匂いも気にならないという。
「試作を始めてから3年かかりましたが、2018年10月に約6トンを製造し、『マヌア肥料』の名で販売したところ、完売するほどの人気になったのです。おかげで以前は年間約4トンも捨てていたコーヒー豆カスは、今ではすべて再利用しており、コーヒー豆カスの廃棄を限りなくゼロに近づけることができました」
このマヌア肥料は人気が広がり、一般家庭だけでなく、今は農園からも注文が来るようになっている。また、店鋪でも肥料の効果を検証してみるため、昨年から農地を借りて野菜を栽培。できた野菜は店頭で販売しており、とても好評だという。
「福岡市喫茶業組合の平田さんから、ローカルフードサイクリングのたいらさんをご紹介いただきました。コーヒー豆カスを基材にして、自社でも堆肥が作れないかと実験しているところです」
マヌコーヒー同様にコーヒー豆カスを堆肥として再利用するカフェは、日本中に増えつつある。今後の取り組みに期待したいところだ。
環境省が今年3月に発表した調査結果によると、廃棄物全体の処分コストは年間2兆円を超えている。費用は言うまでもなく私たちの税金で賄われている。食品廃棄を減らしていくことは、環境面だけでなく経済効果も大きい。食品廃棄を減らす第一歩は、身のまわりの小さなムダを見直していくことではないだろうか。皆さんもぜひ取り組んでみてほしい。(吉田由紀子/5時から作家塾(R))